丁寧な暮らしに憧れるひとの日記

20代共働き夫婦が男児育てながらボチボチ書いてます

激動!”国内電力市場”のお勉強タイム

最近個人的に気になったことを調べて纏めるシリーズです。今回は電力業界がどのような構造になっているかつらつらと書きます。(就活生時代によく調べた懐かしい記憶)

国内エネルギー市場の変化

2016年に電力小売りが全面自由化となり、電力大手10社が地域ごとに独占していた市場が開放されました。また、2017年には家庭向け都市ガスも同様に規制が解除されました。このことにより新規参入会社(PPS=新電力)の台頭や、ガスと電力のセット販売といったパッケージ商品の拡充が起き市場に変化が到来しています。

企業同士のタッグ

これまでの構図を崩すべく大手同士も激しい競り合いが起きており、戦況を進めるためには企業間タッグが一つのポイントにもなっています。例えば最大の激戦区ではある首都圏に対しては、2018年8月から大阪ガス中部電力が手を組み東京電力の顧客を奪いに行っています。一方で大阪ガスは都市ガスの製造スキームを東京電力と協力し合い、中部電力は火力事業において東京電力とJERAという合弁会社をつくり提携を行っています。あくまで生き残りをかけて究極の合理化の上で各社がビジネスをしているということですね。

日本の電力事情

日本にはエネルギー源として使われる石油・石炭・液化天然ガスLNG)などの化石燃料はほとんどなく、海外からの輸入に大きく依存しています。2010年には20.3%あったエネルギー自給率も現在では12%程度となっています。

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IEA「 World Energy Balances 2019」の2018年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値

2011年に起きた東日本大震災を契機にエネルギー構成比率にも変化が生じています。石炭とLNGへの依存度が高まり、当時は電源量が安定せず国から節電要請が頻発していたことが記憶にも新しいですね。

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経済産業省資源エネルギー庁「エネルギー白書2021」

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財務省「日本貿易統計」(海外依存度は総合エネルギー統計より)

LNGってなに?

分かっているようでわかっていなので確認していきます。

LNGとは

端的に言えば天然ガスを-162℃まで冷やし液化したもので、気体時の600分の1に収容でき、かつCO2やNOx(窒素酸化物)およびSOx(硫黄酸化物)を出さない優良な資源です。一方でコストが安定しない課題もあり、日本以外の諸外国では長期契約ではなくスポット(随時)契約が主流であるため需給バランスによって価格変動が起きやすい。

日本企業がLNG調達する場合、20年スパンの長期契約を行います。価格や配船スケジュールや荷役の方法、各種トラブルの対処ルールなど、契約条項は数十におよび、契約書は多いものでは100ページ程度にもなるそう。契約締結後も見直しを行い、人や場所・形式を変えながら粘り強く取引先(国営石油会社やオイルメジャーのケースも)と話し合いを行う必要があります。

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日経新聞朝刊(2021年10月6日)
採掘方法について

ちなみに採掘するためにドリルで地中を掘っていく必要があります。ドリルで掘ったところにパイプを挿入し、土との間にはセメントを流しこみます。海中の天然ガスを「海洋掘削(くっさく)リグ」と呼ばれる海に浮かぶ装置からドリルパイプを海中におろし、陸上で探すときと同じように、海底を掘っていきます。

日本の目指す姿

持続的な社会を創るために政府が2030年そして2050年を見越して作成した指針が「エネルギー基本計画」と言います。その中身を少し覗いてみます。

エネルギー基本計画

省エネを進めていき必要電力量を少なくしましょう、更には一次エネルギー供給についても2015年に立てた目標より石炭中心に圧縮しましょう、という内容です。

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エネルギー需要・一次エネルギー供給

最後に

本当にざっくりの内容ですが少しお勉強してきました。やはり「電力自由化」「カーボンニュートラル」というのがキーワードになっていますね。脱炭素については現在主流ではない非経済的な発電(洋上風力・太陽光・水素)といったものが如何に石炭や石油の利用抑制を行えるのかが課題になってきますね。そこを解決出来た企業こそが今後ポジションを確立していくことでしょう。市場自由化になっているので現在の大手電力会社に限らず、あらゆる企業にチャンスがあるわけで今後もチェックのし甲斐があります。